第7回入門ゼミナール補足資料

7章

7.1 補助記憶装置の役割と機能

プログラムや計算に使うデータは主記憶にないと利用できない. しかし,主記憶は高価なので容量に制限がある.そこで低速だが安価な 補助記憶装置を使って大量のプログラム,データを保存する.

補助記憶装置にあるプログラム,データは直接プロセッサで処理できない. 一旦主記憶にコピーして実行する.

7.2 磁気ディスク

磁気ディスクの容量を求める計算は資格試験などでよく出題されるので 理解しておくように.「トラック」を中心に理解するとよい.

一枚の盤面には同心円状に複数のトラックがある(教科書p.79図7.5) FD の場合, 一本のトラックは複数の「セクタ」に分けられる.

一般に磁気ディスクの記録面は複数ある.各面のヘッドは バラバラに動くことはできないようになっていて, 全ての面の,中心から同じ半径にあるトラックにアクセスする(教科書p.79図7.4). このため同時にアクセスする(同一半径の)トラックを合わせたものを 「シリンダ」という.

以下の容量の求め方は,内周のトラックでも外周のトラックでも 記憶するバイト数は一定というのが前提になっている.

FD の場合はセクタが最小単位になるので容量の求め方は以下の 通りである.

「セクタあたりのバイト数」に 「トラックあたりのセクタ数」 を掛けるとトラックあたりのバイト数が得られ,それに 「面あたりのトラック数」を掛けると面あたりのバイト数, さらに「面の数」を掛けると全体の容量になる.

HDD の場合はトラックが最小単位になるので容量の求め方は以下の ようになる.

「トラックあたりのバイト数」に「シリンダあたりのトラック数(面数)」 を掛けるとシリンダあたりのバイト数が得られ,それに 「シリンダ数」を掛けると全体の容量になる.

7.3 光ディスク

いろいろな方式がある教科書p.83表7.1にまとめられている. 基本的な性質として,磁気ディスクよりも低速だが大容量である. 特にCD-ROMなどの読み取り専用のものは大量生産に向いているので ソフトウェアの配布によく使われた.近年は USBメモリやSDカードが大容量になったので光ディスクは あまり使われなくなってきた.ノートパソコンも ディスク読み取り装置を内臓しないものが増えてきている.

7.4 SSD

SSDは近年進歩が著しいデバイスで, 磁気や光を使うのではなく半導体の記憶素子を使った 補助記憶装置である.HDD は内部で物理的に円盤が 回転し,ヘッドが移動するため,動作速度に物理的な 限界がある.SSD は半導体素子からなるため,物理的に 動く部品が全くないので HDD に比べて非常に高速に 動作することが特徴である.

開発された当初は高価で小容量のものしかなかったが, 近年大容量のものが作られるようになり,特に高速性を 求めたPCでは完全に HDD を SSD で置き換えたものもある.

7.5 磁気テープ

磁気テープは記憶容量が大きいので,めったに使われない データを長期保存する目的で現在も使われている. 読み書きはテープの順番に沿ってしかできず,極端に低速なデバイスである.

7章の章末問題

7章章末問題の問題3では,1Mバイト=1,000,000バイトとして計算されている. これはハードディスクメーカーの伝統的な計算方法で,G も T も 1000倍 で容量が表記される.一方,OS では 1,024 倍で K, M, G, T と上がっていく計算を使うのでOSからみるとHDDメーカーが表記している 容量より少なく見える,ということが起こる.

8章

8.1 入出力インタフェースとは

例えば入力装置からプロセッサへデータを送る場合, 1秒間に何ビット送る,というような送り方についての 取り決めを作る必要がある.この規約が入出力インターフェースで データの送信側,受信側で同じ規約に従う必要がある.

8.2 インタフェースの種類

技術の進歩にあわせて多くのインターフェースが利用されてきた. 「8.2 A シリアルインターフェース」と 「8.2 B パラレルインターフェース」 にわけられる.

例えば8ビットのデータを送りたいときに,1本の線で 8回にわけて送る(教科書p.89図8.2)のがシリアル(直列) インターフェースで,8本の線で1回で送る(教科書p.92図8.5) 方式がパラレル(並列)インターフェースである. シリアル方式では1本の線を時分割して使うので ケーブルの線数を少なく,コネクタを小型にできる 利点がある.

パラレル方式ではケーブルは太く,コネクタが大きくなりがちなので, 高速な伝送が要求されるところはパラレル, 低速でよいところはシリアルが使われていた.近年, シリアルインターフェースを使って短い時間で大量の 情報を伝送する技術が発展したため(USB の S はシリアル), 高速性が要求されるところでもシリアル通信が用いられる ようになってきている.

8.2 A シリアルインターフェース

教科書p.90図8.4は IEEE1394 の説明中の図だが IEEE1394 の場合はターミネーターは不要である.

単にコンピュータの「シリアルポート」といった場合はRS232Cをさす. 低速な入出力に長く使われてきたが,USB に置き換えられた.

8.2 B パラレルインターフェース

パラレルインターフェースは複数の線を使って 一度に複数のビットを伝送することができるため, 高速にデータを送る方式として利用されてきた.

しかし,シリアル方式の高速化が進んだため,ケーブルや コネクタが小型化できるシリアル方式で置き換えられる 分野が増えた.

SCSI はコンピュータのHDDを接続する高コスト,高速な 手段としてサーバーなどでよく利用される. 教科書p.92では「データを8ビット同時に送れる」 とあるが,現在は線数を増やして高速化が行われた 16ビットを同時に送る方式が主流である.しかし, SCSI のさらなる高速化は線数を増やすのではなく,シリアル化 することで行われた(SAS).

パラレル方式で用いられる多線化による同時伝送量 を増加する手法は,高速化して伝送1回あたりの時間が極端に 短くなると,線どうしの干渉や到着時刻のばらつきなどの問題で 高速化に限界がある. 1 秒あたりの伝送回数を増やすためにはシリアル方式の ほうが有利なので現在ではシリアル方式の利用が進んでいる.

8.2 C 無線接続の規格

光を使った IrDA,電波を使った Bluetooth,IEEE802.11 が説明されている.

IrDA は近距離で低速な用途に使われる.ゲームの通信に使われる場合もある.

Bluetooth は近距離で中程度の速度があり, 簡単な設定で利用できるので,PCと周辺機器(マウス,キーボードなど)の 接続によく使われる.最近はスマートフォンとイヤホンの接続 に使われる.

IEEE802.11 はいわゆるWiFi の規格で,細かいバージョンによって 速度に差がある.高速である程度の距離,遮蔽物にも耐えられる ためにPCと,ネット接続のアクセスポイントとの 間の通信によく使われる


Updated in June 18, 2020, Yamamoto Hirosh