Computer Network 3 Document 04
通信ネットワーク実習3第4回補足資料

1.9 ネットワークの構成要素

リピーター,ブリッジ,ルーターがそれぞれOSI参照モデルの 第何層に対応するかを理解する.

IP を理解するには「ネットワーク」という単位を意識することが重要である. 現在は一つのネットワークにホストを繋いでいく,という結線ではなく, 教科書図1.40の左のようにハブやスイッチにホストを繋いでいくスタイル が主流である(無線であっても).IP を理解するときにはこの図の右側の ように背後に一本のネットワークが存在していることを意識すると良い.

教科書でルーターと呼んでいる第3層の装置を昔は ゲートウェイと呼んでいた.デフォルトゲートウェイ, など,一部の言葉に残っている.他の文献を参考にするときに 気を付ける必要がある.

レイヤ4-7スイッチと(教科書での)ゲートウェイは 同じ階層の情報を利用するが,レイヤ4-7スイッチは負荷分散を目的として 自動で複数のサーバーへの振り分けを行うもので,ゲートウェイは 別々のプロトコルで動いているサービスの間をプロトコルを翻訳することで 中継するサービスである.

リピーター,ブリッジ,ルーター,レイヤ4-7スイッチ,ゲートウェイの 機器内部でのデータの処理は教科書図1.49がわかりやすい.例えば第3層の 機器であるルーターの内部では最初は物理層である機器の端子から 情報が入り,第3層まで階層を上がって行く.第3層のヘッダをみてデータをどこに 転送するかを判断する.送信時は下の階層へデータを渡して行き, 物理層から転送を行う.他の階層も同じで,対応する階層よりも 上の階層の処理は行わずに送信する.

1.10 現在のネットワークの姿

バックボーン,エッジ,アクセスを理解する.道路に例えると 高速道路がバックボーン,インターチェンジがエッジ,一般道が アクセスである.家庭のインターネット接続,携帯端末によるネットワーク 接続の場合,バックボーン,エッジ,アクセスにはそれぞれ 何が該当するか確認せよ.ユーザーが最初に接続する外の機器が アクセスである.

一般のユーザーはアクセスにしか接続できないが,巨大なデータセンターは 直接バックボーンに接続されているものもある.

2.1 TCP/IP登場の背景とその歴史

TCP/IPの大きな特徴は以下の2点である.

これらはTCP/IPがもともと軍事技術として開発されたことに由来する.

分散形ネットワークである理由は教科書図2.1 と 2.2 を比較すると わかりやすい.分散形でないネットワークは教科書図2.1のように 中央の処理施設が存在し,全てのデータを一度中央に送ってから 宛先へ送るタイプである.各ホストは中央へ送るための設定を, 中央は各ホストへ送るための設定をするだけでよいのだが, 中央が機能しなくなるとすべての通信ができなくなるために軍事的に 脆弱であるとして問題視された.

分散形ネットワークは教科書図2.2のように迂回路がある ネットワークで,障害に強くなる.分散型ネットワークを 実現するためにパケット交換方式が考えられた.パケット交換方式では データを小さな単位(パケット)に分割し,それぞれの パケットに宛先の情報や元のデータに組み直すための情報などを ヘッダとしてつけることでパケットが多くの経路を経由して 目的地に到着するように設計されている.

元のデータに組み直すことはTCP(第4層),宛先まで届けることは IP(第3層)というそれぞれのプロトコルが行う. インターネットにとってTCPとIPが特に重要な技術であることが わかる.

2.1.2節から2.1.5節に書かれている歴史を経てインターネットが 普及し,TCP/IPはネットワークのデファクトスタンダードに なった.


Updated in May 12, 2023, Yamamoto Hirosh